蔵廻り

蔵廻り
平成15年3月5日

この度の訪問予定の蔵元様は琵琶の長寿醸造元・池本酒造有限会社様の一蔵を私の一人旅で訪問させて頂きました。
日帰り訪問の強行軍でのお邪魔でした。 

まだ暗い朝5時過ぎの出発駅「川間駅」で、お客様のYさんにばったり、上野駅までお供をさせていただきました。「みんな早いんだな〜」
湖西線 車窓
近江今津に近ずくにつれ重い雲がはれてきました。あと10分ほどで近江今津駅です。
5日am10:30 近江今津駅到着
湖西線(こせいせん)近江今津駅
この駅の反対側が琵琶湖になります。
琵琶の長寿さんはこの写真を撮っている私の真後ろ直線で500メートルぐらいのとこです。
10:50琵琶の長寿 池本酒造様に到着
駅からのんびり10分ほど歩くとここ琵琶の長寿さんのお店に到着します。前面道路は若狭街道、2件左に川魚屋さんがあります。水槽には大きな鱒と道路には元気なうぐいがざるから飛び出し跳ねておりました。ちなみに池本社長は何件も建ち並ぶここ若狭街道近辺の商店街の会長さんも兼任されております。
いざ 琵琶の長寿さん
 ここまで5時間半ほどかかりましたが、案外近いんだな〜などと思いながら暖簾をくぐり店内に入っていきました。「こんにちは〜」 ん〜ん〜 「見慣れない琵琶長さんのラベルもあるぞ!」
池本社長ご夫婦のお出迎えにあずかり恐縮至極です。(京美人の奥様に動揺しながら)まずは作業着の池本社長よりご自宅の情緒あるお部屋でレクチャーにあずかりました。とっても気さくでお話も冗舌で1時間が10分程度に感じます。しかしこの時間は大切で私を知って頂くという事も(何回もお会いしてるんですけど・・;)ございますし、何をしにお邪魔したかもお伝えしないと有意義な時間が得られません。(当たり前か〜)

さて
すでに仕込みは終了し(甑倒し)上槽を待つ醪の管理の時期に琵琶の長寿さんは入っております。琵琶の長寿さんの最大の個性は“味” 醪日数も(醪日数とは仕込み留の日から上槽までの日数です)他蔵さんと比較すると大幅に長くその管理にもご苦労されております。そこで上槽のタイミングを計る 何かが(勿論数値以外の)琵琶の長寿さんの酒造りの一端を担っていると邪推したくなりませんか?


故池ノ上 舊元 杜氏 (能登杜氏)
(いけのうえ きゅうもと)

26年間池本社長と共に酒造りをされ陣頭指揮をおとりになっている、杜氏さんです。お顔の張りがありつやつやしているのは杜氏さん共通の第一印象です。(麹作業がよいのでしょうか?)私も張りとつやが欲し・・・ 若々しく穏やかな杜氏さん です。
      
       琵琶の長寿
 故池本久彌社長  故池ノ上舊元杜氏

 △これはしっくりきますね〜
  ピラミッドパワー?(笑)

(写真左は池本社長ではなく私です)
琵琶の長寿さんの井戸です。
榊を移動して中を覗かせて頂きました。
「浅いでしょ?」池本社長が説明してくれました。
この辺りは深いとかなけが出てお酒造りには向かないそうです。
パイプがら汲みあがるお水を頂くと柔らかい軟水でした。このお水が愛するお酒へとなっていきます。 



糊味
(のりあじ)
糊は接着剤のあの糊です。その味です???。皆さんの机の上にある糊は色々なものが混ざっているでしょうから、それを舐めてもその味とは違うと思いますよ!
といえる簡単な事でしたら、白粥でも舐めて こんな感じかな〜と想像できるでしょうが、そんな易しい事はありません。

この糊味 酒蔵さんの専門用語なのか皆様にはあまりお馴染みではないと思いますし、上槽後のお酒はこの味が存在しないのがほとんどかと思います。ですから普通はこの糊味を感じる機会がありません。
仕込みが終わり上槽を待つ琵琶の長寿さんにはこの糊味を体験できる醪がたっぷりあります。
今回の蔵訪問の大きな目的の一つとして糊味はどんな味なのか?それが知りたい!というのがありました。

そんな私の当日の質問にもかかわらず、池本社長・池ノ上杜氏さんが上槽間際の醪・もう少しで上槽の醪、まだそこまでいかない醪とご準備頂き教えてくださいました。
アドバイスを頂きながら2・3回と5・6回と猪口を傾けてみました。 「ん〜分からないな〜」と呟くと静かな杜氏さんが本当に熱心にご説明をしてくださりました。そんな中ですこ〜し見えてきたことは(味として上手く表現できませんが)舌の触感として、上槽まで遠くなるほど舌に残るいやな“ざらつき感”のような感触が強くなる気がしました。上槽間際の醪はその“ざらつき”が消えスッキリ晴れ晴れした感じになっております。この“ざらつき感”が糊味の一部なのかもしれない… 答えが出ず スイマセン<(_ _)>

一本の醪を最初から最後までいつくしみ育てその時々の味を記憶し、何本も何年も繰り返してその糊味を知る。しかし世に出る時はその糊味は存在しない。琵琶の長寿さんはその糊味が消えるまで醪と徹底的にお付き合いします。醪日数が長くなるのは蔵元さんの醪への愛情・手造りの証。まさにお酒を蔵の分身とお感じになって世に出されております。

今回の訪問は充実したものになりました。   



番外

かの有名な丁子屋さんで 長寿を傾けながら 肴は
  鰻・鯉・鮎・もろこ・鴨と すべて本物ずくしの昼食をいただきました。

池本社長に負けず劣らず魅力的な色気のあるご主人で、傍らで魚をあぶりながら「こんなご時世だが、努力せねばだめだよ」と誰に言うでもなくおっしゃいました。 
   そうか ここは近江だ・・・

障子の向うに立てかけてある戸板に私の生まれた年月が書いてある。  
なんかご縁がありそうだ!
ps
琵琶の長寿さんをお取り扱いの酒屋さんが近所にありましたら是非求めてください。晴れ晴れとした本物のお酒です。

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とっても美味しいお酒を仕入れてまいりました。
純米大吟は3本上槽済みでしたが、その中の長男です。(私は次男ですが、長男をクリックしてね!)